天使という名のハンター

「それ、いつの話だ」

「二十五」

 未だ質問を続けるセシエルに眉間のしわを深く刻む。

「五年前? つい、こないだじゃねえかよ」

 まるで童話だな。

「依頼主ってどんな奴だった。お前の他にも不死にした奴はいるのか」

「不死は一度きりの能力だ。もういいか」

 気負わないのは頼もしいが、いい加減に緊張感を持て。

「そいつに気に入られたってことか」

「そういう事ではない」

 ふと階段から足音がして、ベリルとセシエルはすかさずカウンターに飛び乗り厨房に身を隠す。

 様子を窺っていると男が二人、降りてきたようだ。変な動きがないか巡回しているらしい。

 薄暗い店内を男たちはそれぞれ、いつものように歩き回っているのだろう、どうせ誰もいないと適当に見回してカウンターに肘を突き煙草をふかしはじめた。