事前に手渡された小型のヘッドセットを片耳に装着し、軽く動作確認する。
「そういやあ、なんで不死になった。それとも元から不死なのか」
裏にベニヤ板を張られたガラス張りのドアを両脇から挟むように二人は立ち、ふとセシエルが小声で口を開く。
「いま訊ねることかね」
「聞く前に着いちまったんだ」
「キースにでも訊くと良い」
これから戦闘になるというのに肝が据わっているとセシエルに呆れつつ、心強くもある。
「あいつに話したのか」
「大体のことは噂で知っているだろう」
「面倒だ。いま教えろ」
こいつは正気なのかと眉を寄せ、中の気配を探ると共にゆっくり扉を開きながらかいつまんで回答する。
「護衛の依頼をした者に不死にされた」
「おい、ざっくりし過ぎだろ」
「それで充分だ」
室内は元レストランだけあって、テーブルと椅子が散らばっており、厨房を囲うようにカウンターが設置されている。
カフェレストランだったことが窺える。



