天使という名のハンター

「それ以来、何も知らない者を寄越してくる」

 セシエルは、呆れたように肩をすくめるベリルに渋い顔をした。

「まずこの状況を説明してくれないか」

 さっぱり解らない。

 ベリルはそうだったなと口を開きかけたところで何かに気がついたのか、バックポケットに手を回す。そうして震えているスマートフォンを取り出し画面を確認して通話を始めた。

「ベリルだ──そうか。すぐに向かう」

「おい?」

 ソファに置かれていたバレルバッグに手を伸ばしたベリルに、説明をしろと顔をしかめる。

「説明は車の中で構わないか」

「え? おう」

「あとは頼む」

「了解~。まかせて」

 男は笑顔でベリルたちを見送った。




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