天使という名のハンター

「お願いします。流浪の天使と呼ばれる名うてのハンターのあなたなら、この男を必ず捕まえてくれると信じています」

「誰が付けたんだか。ガラじゃない」

 肩をすくめて苦笑いを返すと女は首を横に振った。

「いいえ」

 あなたはその名前に相応しい人です。

 お世辞ではなく、素直な感情なのだろう。そう思うと余計に照れくさい。悲しみに暮れる相手に失礼かとも思うが未亡人というのは、どうしてこうも(つや)っぽく見えるのだろうか。

「お願い。クリア・セシエル」

 立ち上がり、ふらつきながら近づいてその手を強く握った。

 見下ろす美女の潤んだ瞳に目眩(めまい)を覚え、そのまま抱きしめかけるも頭を振って気を取り直す。

「じゃあ、アンジー。この男について、もっと情報が欲しい」

 言うと、女はUSBメモリをすいとセシエルに差し出した。

「ここに、この男(ベリル)について私が調べた全てを記しています」

 必ず、私の前に連れてきて──