天使という名のハンター

「まずは依頼の内容を聞きたい」

「どうぞ、こちらへ」

 玄関扉を開きリビングに案内する。

 室内は整えられているものの、何か寂しげにも思えた。それは女性の表情のせいだろうか。心をどこかに置いてきたようなその瞳には、輝きが見当たらない。

 女性はセシエルにソファに座るように促し、互いが腰を落とすとおもむろに口を開いた。

 アビゲイルと名乗り、すいと写真をセシエルの前に滑らせる。探し人かと写真を手にしたセシエルは、声が出そうになるのをなんとかこらえて女性を凝視する。

「その男を連れてきてください」

「──理由は?」

 尋ねるとアビゲイルは一瞬、歯を食いしばり直ぐ顔を伏せた。

「兄さんが、行方不明で……。調べたら、この男が最後に兄さんと会っていたことがわかったんです」

 やっと見つけた手がかりに私は喜びました。

「なのに、何度も連絡したけれど、会ってくれないんです」

 弁護士まで通して頼んでも「忙しい」との冷たい返答に、業を煮やしたアビゲイルは強制的に会うためハンターを雇うことにした。

「なるほど」

 そうして俺に依頼をしてきたのか。しかし、なんだってこうタイミング良くぶち当たるのかね。ハンターなんてごまんといるっていうのに。

 これはもう運命か?

 顔をしかめて、渡されたベリルの写真を見下ろした──