天使という名のハンター

 元々、ハンターと傭兵では仕事の場所は異なるものの、仲間をあまり持たず放浪のハンターであるセシエルは自分の世界事情でさえ、(うと)いところがあった。

 傭兵は数人から大勢での行動が多く、ハンターは個人で動く事の方が多い。両方に顔の利く者も稀にいたりするものの、大体は同業者同士のつながりが強い。

 ベリルはすでに五年以上も前から名前が知れ渡っていた傭兵である。

 もちろん、優秀である事が一番の理由だが、傭兵には似つかわしくない容姿という事もあってベリルの話には尾ひれが付きまくっていた。

 おかげで悪魔のような人物だと思われ、実際に会うと目を剥いて驚かれてしまう。

 あげくには、会ってもいない相手に意味なく嫌われることも多々あった。

 噂を止めることは出来ず、仕方なく放置しているけれど実害が出れば容赦なく対処するようにしている。

 今回、実害があったにも関わらずベリルはこれ以上、対処するつもりはないらしい。

 再会することを期待しているのかもしれない。