「いたぶる?」

 なんだそれは?

 それが本当なら、自分の邪魔になる人間を殺しているということなのか。しかも、楽しんで?

 渡されたもう一枚の写真には、何度も刺された傷痕(きずあと)や、殴られた痕が生々しく浮き出ている男の遺体が映っている。

 死因は頭を撃たれた事によるものだそうだがこの男はそれまで、死なないように攻撃を加えていたということになる。

 確かに、体に見える銃痕はどれも急所を外れている。死ぬことが出来るまで、こいつは(ロイ)を痛め続けたのか。

 腹立たしいがここで怒っても仕方がない。とにかく今は冷静に話を進めよう。

「この男に面識は」

「ありません。私も、夫も、まったく知らない男です」

 夫がただ優秀だったというだけでこんな仕打ちは、あんまりですと再び涙がこぼれた。

「ただ黙って逮捕されるのを待つだけなんて、そんなこと許せない。けれど、この男はとても強くて誰も太刀打ち出来ないと聞き、私は絶望しました。そんなときに、貴方を知ったんです」

 主人の友人から、あなたならきっと受けてくれるだろうと──