天使は顔だけか──?
「は?」
寸刻、唖然として直ぐ、しれっと問いかけるベリルの表情が頭に浮かんで握った拳をわなわなと震わせた。
「あんの、やろう~。だったらあいつは悪魔か吸血鬼だろうが!」
<おまえもうるせえよ騒ぐな>
「直接、俺に言ってこないのも腹が立つ」
<俺にも忠告するついでに言ったんだよ。おまえと長々、話す気もなかったんだろ>
いくら相手が友人とはいえ、理由も聞かずに教えたことは軽はずみだったとキースは素直に謝った。そのあとにふと、ベリルが煽り文句を言い放ったのだ。
「キース! もう一度、奴の居場所を教えてくれ」
<あー……。すまん。それは無理だ>
教えるなって止められちまった。
「くっ。きたないやろうだ」
<いや。捕まえようとしたおまえが明らかに悪いだろ>
なに言ってんだと馬鹿呼ばわりされた。