天使という名のハンター

「引き受ける前に確認はしなかったのか」

 それに喉を詰まらせたが顔を覗かせたベリルに一発、銃弾を放つ。もちろん、当たることはなく車のボンネットに弾かれた。

「出来れば武器を返してもらいたいのだが」

 仕方がない。諦めるとしよう。

「逃がすと思っているのか」

 舐めるな。

 けれども、ベリルが隠れていた車のドアが開き目を見張った。乗り込む姿が見えて再び銃を構えたが視線が合い、射抜かれたように身が(すく)み生唾を飲み込む。

「おい待て!」

 いつの間にキーを持っていたのか、車はすぐさま走り出し遠ざかっていく。セシエルは小さくなる車を呆然と見送った。

「くそ」

 目の前で逃がすなんて初めてだ。

 俺は何故、動けなかった──!?




†††