天使という名のハンター

「セシエル。もう一度言う。彼女はロイの妻ではない」

「黙れよ」

 アンジェリーナから離れるんじゃなかったと後悔に歯ぎしりする。

「俺を油断させようたって無駄だ!」

「ロイを殺したのはアンジーだ」

「嘘はやめろ」

「調べれば解る事だ。判断を誤るな」

「黙れ!」

 引鉄に力を込める。

「天使にしては口が悪い」

 ベリルは聞く耳を持たないセシエルに小さく溜息を吐き出した。

「そう呼んでくれなんて頼んでねえよ」

 なるほど、彼は紛れもなくハンターだ。動きに隙がない。

 これまでも多くの人間を捕らえてきたのだろう。それだけの気迫が感じられる。それならば尚更、この男の行動が残念でならない。