天使という名のハンター

「クリア! ああ。ありがとう」

 女はベリルを視界に捉えると、目を輝かせてセシエルに笑みを浮かべた。

 復讐できる喜びに満ちているのだろうか、アンジェリーナの表情に鋭さも怒りも感じられない。

 それに少しの違和感はあったものの、憎しみはそれぞれだろうとあまり気には留めなかった。

「お金は振り込んでおいたから。ありがとう」

「え? しかし」

「立派に仕事を果たしてくれて感謝します。夫の友人たちがいるので帰っても大丈夫です」

 そう言われてしまえば仕方がない。

 セシエルは後ろ髪を引かれる思いに一度、振り返りベリルを連れて裏口の方に向かうアンジーたちを確認しジープに戻った。

 渋々(しぶしぶ)ドアを開いたそのとき、何発もの銃声が聞こえてセシエルはすかさず裏口に走る。