「その男は、私の夫を殺しました。愛していたのに……。なんて酷い」

 そう言うと女は、感情を抑えきれずに声を上げてテーブルにつっぷした。

「あんなに優しかった夫を──この男は平然と殺したのです」

 嗚咽を漏らしながら言葉を紡ぐ。

 職業柄、こんな光景は見慣れているが、やはり気の毒でならない。

「殺された理由はわかりますか?」

「私の夫は……ロイは、優秀な兵士でした。会社の中でも特に秀でた傭兵だったと聞いています」

 こぼれ落ちる涙を拭いながら鼻をすする。

 殺されたと言う男の名は、ロイ・フォードル。四十八歳。妻はアンジェリーナ・フォードル。三十五歳。結婚して五年ほどだという。

「この男はフリーの傭兵らしく。優秀な兵士を探しては、気まぐれにいたぶるのだと、噂で聞きました」

 言葉を切りながらも懸命に説明する姿はけなげだ。