天使という名のハンター

「おまえ……。一体、幾つ持っているんだ」

 細身の体から出てくるには多い。多すぎる。ここで何をしていたのかは解らないが、帰るところだったんじゃないのかとベリルの足元にある深緑のバックパックを一瞥した。

「もう無い」

 両手を肩まで挙げて答えるも、本当なのかと疑いたくなる。これだけ出てくれば他に持っていても不思議じゃない。

 気を取り直し、ゆっくりと近づくと軽く服の上から触れて持ち物検査をし警戒しながら取り出した結束バンドで後ろ手に縛ってさあ歩けと背中を小突く。

「拾わないのか」

 言われて、落ちている武器を見やった。確かに、子どもが拾うと危険かもしれない。

「待ってろ」

 ジープから麻の袋を持ってきて、こちらの様子を窺うベリルに注意をしながら一つ一つ拾って袋に詰め、ついでにバックパックも掴んで背負う。

 トランクを開けてそれらを投げ入れ、ベリルをジープの後部座席に座らせてシートベルトを締める。