天使という名のハンター

「殺せとでも言われたか」

「それはアンジー次第だ」

 顎と銃で武器を捨てろと示す。

 ベリルはしばらくセシエルを見つめたあと、諦めたように武器の確認を始めた。

 ここまで聞き分けの良い奴とは驚きだ。それとも何か企んでいるのか。

 セシエルはスリムなテクニカルベストから、ゆっくりとハンドガン二丁を抜いて地面に落とすベリルを眺めながら、みるみると顔をしかめる。

 何せ、両太もものレッグホルスターからそれぞれオートマチックが一丁にナイフ、腰の後ろからリボルバーが一丁とまたナイフ。さらには、左脇から三本目のナイフを取り出していく。

 それで終わりかと思いきや、(すそ)をまくってハンドガンが一丁、(そで)をまくればナイフが現れた。それだけでは飽き足らず、服の中に手を突っ込んで右脇をごそごそとしたならナイフが顔を出す。

 そのうえ右足首からはコンパクトガン、左足首からは投げ用ナイフがこれまた三本、地面に転がったのだからさすがに目を()いた。

 なるほど、どうりでこんな場所なのに足首まである靴を履いていない訳だ。