「覚えているか?」

 それには答えず、どうしてこれを持っているのかと尋ねるような眼差しに思わず声を荒らげた。

「よく見ろ! お前が殺したロイ・フォードルだ!」

 その言葉にベリルは渋い顔でセシエルを見やる。

 なんだその顔は。無残な亡骸(なきがら)を見てもそんな顔が出来るのか。

「随分と楽しい趣味をお持ちのようで」

 刺々(とげとげ)しい嫌味にもあまり表情は変わらない。

 それが腹立たしくもあるが、セシエルは同時に妙な恐怖感も抱いていた。