「あれだけ綺麗ならそりゃあ、すり寄る奴もいるだろうけど。そんなことで大勢の人間に慕われる訳がない」

 随分とベリルについて知っている様子だ。

「一緒に仕事をしたことが?」

「もちろん、あるさ」

 誇らしげに口の端を吊り上げる。

(じか)に会うと存在感の凄さが解るよ」

 姑息な手段でのし上がってきた者のそれじゃない。

「仕事ぶりはどうだ?」

「その名に相応しい的確な指示と動きで、あっという間に完遂さ」

 嬉しそうに素直な言葉を発した。

 そこにはやはり、違和感も嫌悪感も見られない。疑問に思いながらも、ロイの遺体の様子とアンジーの泣き顔が脳裏を過ぎりコロンビアに向かう決意を固めた。