「ベリル・レジデント?」

 男は、いぶかしげな顔で渡された写真を見やった。

「そうです」

 女は答えて、すがるような眼差しを男に向ける。

「お願いです。この男を捕まえてください」

 背中まで伸びた栗色の髪からは艶が失われ、すらりとした手足は力なくだらりと垂れ下がっている。綺麗に伸びた鼻筋に上品な色のルージュがひかれた唇は微かに震え、整った顔立ちには少しの疲労が見て取れた。

 喉を詰まらせて訴えかける美女に潤んだ青い瞳で見つめられ、男は心臓を高鳴らせた。その感情を悟られないように再度、写真を見下ろす。

 遠方から撮られたものだろうか、輪郭が少しぼやけている。それでも解るのは、その男がかなりの美形だということだ。

「この男が何をしたのか、詳しく教えていただけますか」

 女は問いかけに眉根を寄せたあと、涙を拭うように目尻にハンカチをあてがう。