飛べないカラスたち



「やるよ、これ」



それを見たリクも手首にしていた太いチェーンブレスレットを外すとルックの手に押し込んだ。


そして何も言えなかったルックに出会った時と同じ笑みを浮かべて二人は手を振って裏路地から出て行った。


暗い裏路地から、光の当たる路地へ。


その背中は溶けるようにいなくなって、ルックは手のひらに残ったチョーカーとブレスレットを見つめて、ギュッと握り締めるとすぐにつけた。


そして走って走って、家に帰った。


家の中はやっぱり誰もおらず、いくら待っても、誰もチャイムを鳴らさないし、電話も鳴らない。


リビングのソファに寝転び、乱れた呼吸を繰り返しながら考える。


自分が選ぶべきは、家族なのか、友なのか。


ある日突然姿を消し何年も一人にした家族なのか。


同じ罪を被る友なのか。


友の傍にいれば、耐え難い寂しさも孤独も拭える。


あの二人を失ってしまえば、また暗闇の中に溶けてしまいそうな、言いがたい恐怖に怯える日々をまた送らなければならない。


嫌だ。


だけど、追いかけてくるのは警察。


何処まで逃げられるのかわからない。


子供たちだけで逃げられる場所なんて、たかが知れている。