飛べないカラスたち




「逃げたって捕まるのも時間の問題だよ、自首した方が…」



「バカ言うなよ、そんなことしたら俺たち、何年服役しなきゃならないと思ってんだよ。殺人だけじゃない、万引きもひったくりもしてんだぞ」



セイの言葉を、リクは切って捨てる。


全ての罪を償うには自分たちのしてきたことは荷が重すぎたのである。


そこまで罪を重ねてきた自分たちを責めるべきか、それともそうでもしないと生きられなかったこの社会を責めるべきか。


重たい沈黙の中、リクはそれでも意見を曲げなかった。



「俺は逃げるぜ。捕まってたまるかよ、逃げ切ってみせる」



「……リクが行くなら俺も行くよ。どうせもうどこにも居場所なんてないし」



二人の視線が、ルックへと向けられる。


一瞬の戸惑いの答えは、心のどこかで未だに待ちわびている兄の存在だった。



「明日まで待って。…明日の、15時までに僕がここに来なかったら、二人で行ってよ」



「…………」



沈黙。


静かにセイが、その申し出を了承した。


どちらにしても一度帰って荷物をまとめなければいけなかったこともあり、三人はそこで解散し、逃げる者は翌日の15時に此処で、という約束をして、別れることにした。


三人が立ち上がり、裏路地から出ようとした時、セイが思い出したように声を上げ、首に巻いていたベルトチョーカーをルックに手渡した。


きっと、セイはルックが明日の15時に来ないと気付いていたのかもしれない。