飛べないカラスたち





「…り、リク…そんな乱暴にしなくったってボケた婆さんなんて何もしないよ」



流石のセイも少し焦ったように言葉を漏らす。


僅かに身体を震わせながらリクは車椅子も倉庫に押し込むとバタンとドアを閉めた。


少し気まずいムードになり、帰ろう、と誰かが言い出し、その日は一旦引き上げ、裏路地で成果を見せ合った。


全てを足した金額は、お菓子やジュースを買うには十分な、他の地区へと三人で逃げることさえ可能な額だった。


ただ、老婆のことが気になって、三人はどこかぎこちなく途切れ途切れに会話をしては沈黙を繰り返す。


互いに集めた金は小遣いとしてポケットに納めなおし、ルックは明日の学校は出るつもりだったので家へ帰った。


家に戻っても相変わらず電気はついておらず閑散と、していた。


靴を脱いでリビングへと向かうと、電気とテレビをつける。


ソファに寝転がって少し疲れた身体を休めていると、耳を流れて通ったニュース速報が、脳の中で何度かリピートされた。



《本日、空き巣による傷害事件が起こりました。被害にあったのはこの家に住むタオさんで、何者かに倉庫へ押し込まれた時、中に掛けられていた鎌が頭を貫通し、本日家族の同意の下、亡くなりました。警察はこの犯人を追跡中です》



紛れもない、それは同級生の祖母の死を伝えるニュース。


この瞬間、自分たちを追う社会との鬼ごっこが幕を開けた。


カインはテレビを消して部屋へと戻り、布団を頭から被って震えていた。


それでもその震える身体を抱きしめてくれる腕などない。


自分の犯した過ちを、正そうと叱ってくれる人間も居ない。