母方の祖母が引き取ると声を掛けてくれたが、レイが帰ってくるかもしれないからとルックはその申し出を断る。
しかし、年月が立つと兄も母も帰ってこないということに気付き、少しずつレイを恨むようになり、そして両親も恨むようになった。
家にいても誰もいないし、誰も帰ってはこないし、誰もルックの傍にはいてくれない。
祖母は、暫くして風邪をこじらせ、そのまま死んだ。
一人で参加した葬式には、母親の姿はなく、ルックの身を案じる親戚もいない。
学校では教師が腫れ物に触るような対応をして、眼中にさえ入れないように勤めていた。
ルックは11歳になった頃夜中の街をフラフラと歩き回るようになった。
夜の街はとても優しく、甘く、その甘さは毒を含んでいた。
「なぁなぁ」
そんな声を掛けてきたのは少年二人で、中学生ほどだろう、脱色して傷みきった髪をワックスでアレンジして、耳や口には幾つものピアスとブレスレット、ネックレスをつけてタバコを吸っていた。
「何してんの、こんなトコでさぁ」
「……暇だから」
「じゃあ俺らと一緒に遊ぼうぜ」
ニンマリと笑うその笑顔を信用したわけではなかったが、ルックは頷いて彼らが手招く裏路地へと入っていった。
家にいるよりはマシだった。


