飛べないカラスたち




「私の噂を聞いて、殴ったんですね、有難うございます。でもカイン、貴方の手まで汚すことはないんですよ?」



「でも…あいつ等笑ってたんだ」



「時にはいいかと思いますよ、取っ組み合いも。でも、私はそんなことをするよりもカインの手は折り紙を折ってくれているほうが好きです」



ルックが作った鶴を生徒手帳の間から取り出すと、レイは「ね?」と言って笑いかけた。


暫くして頷いて見せると、とりあえずレイはホッと胸を撫で下ろした。


そして立ち上がると残りの帰路を手を繋いで歩き始める。


結局、確信めいたことを何も語らずはぐらかしただけの問題も、いつかは直面しなければならない日が来ることを、ルックは知らないでいた。


ただ、自分は兄を慕っている。


だけど自分ひとりの気持ちだけでは何も叶いはしないことを、知らなかった。


世界は時に残酷であるということを、たった8歳の子供がわかるはずもなかった。






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