飛べないカラスたち

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子供は大人の間に起こる違和感を敏感に察知する。


大人が思う以上に、子供は勘の鋭い生き物なのである。ルックも、その内の1人だった。


レイが家に来てから2年ほど経ったレイが14歳、ルックが8歳の頃、段々と、母親の機嫌が悪い日が増えた。


それどころか、毎日のように囁かれていた噂の中に、奇妙な言葉が混じることが多くなり、ある日の放課後、誰もいなくなった教室で同学年の男子3人がルックを取り囲んでニヤニヤと笑いながら問いかけてきた。



「なぁ、お前の兄ちゃんさぁー、妾の子って本当か?」



「めかけのこ?」



「お前の親父が浮気した女の子供ってことだよ」



そんなことを聞かれても、ルックにはいまいちピンと来ない話だった。


浮気だとか、妾だとか、ルックにとってそんなものは重要ではないのである。


レイは自分を好きでいてくれて、いつもそばにいてくれる、優しい人。


それだけで、レイの存在は十分に説明できる。余計なものなど必要ないのである。
レイが好き。


それだけで、いいのだ。