飛べないカラスたち

*




それから、3年。


最初は足踏みの揃わなかった『カラス』は徐々に互いを信頼するようになり、今では多くを語らずとも理解しあえるようになった。


ジャックドーは情報屋として走り回り、レイヴンへと情報を送る役目を担った。


いつだったか、まだ皆に馴染めなかったクロウがレイヴンの指示に従うジャックドーに言い放ったことがある。



「こんな素性も知らない人間をよく信用できるよな」



と。


対するジャックドーは暫く思案した後、何と言うこともなく、答えた。



「レイヴンは、他人に褒められたことのない俺を初めて褒めてくれたから」



飛んで居たいと思ったのである。レイヴンが、家族以外の他の人が、笑ってくれたから。その笑顔が、両親に似ていたから。


今度こそ、守ろうと誓うことが出来た。


それがただの誤魔化しや偽善であったとしても、もう一度、何かがあったときに守れたら、あの時背負った痛みが、少しだけ和らいで、自分を許せるのではないかと思っていたのである。


クロウは何かを察したのか、それ以上は何も言わずに顔を逸らした。


そんな、最初は誰とも心を開かなかったクロウも、今では兄貴風を吹かせてルックの面倒をよく見ている。


ルックのほうも、最初はとても冷たく、悲しそうな無表情だったのが、次第に表情に変化が訪れ、感情を表情に表さないものの、あの頃よりは少しだけ、表情が増えた。


ジャックドーも、その変化に少しだけ、胸の痛みが遠退いていくのを感じていた。