飛べないカラスたち




通された部屋で待っていると、先ほどの男が入ってきて、その時漸くその男が『カラス』の一員であることを、ジャックドーは知った。



「初めまして、私はレイヴンです」



「…ジャックドー」



素っ気無い返答を気に留める様子もなく、レイヴンと名乗ったその男は柔らかく微笑みながら、言った。



「バイクシューズ、上手ですね。まるで飛んでるみたいに綺麗でしたよ」



言いながら、手をさし伸ばす、彼。


自分に、家族以外の誰かが微笑みかけることなど、ないと思っていた。


それでもいいとさえ、思っていた。


家族がいなくなって、誰も微笑みかけてはこなかったから、その笑顔はとても新鮮で、どこか母親に似ていて懐かしくて温かかった。


返す言葉が見つからないまま、その手をおずおずと握り返す。


レイヴンは何故か嬉しそうにしていたが、その直後、急に荒々しくドアが開かれた。


そこには夕焼け色の髪をした同い年ほどの青年が立っており、レイヴンとジャックドーの驚いたような視線を、睨み返す。


対するレイヴンは先ほどと変わらない穏やかな表情を浮かべてジャックドーと交わしていた握手の手を離し、彼へも向けた。