その仕事が終わってから両親からの最後のプレゼントを思い出し、ベッドの下から引っ張り出して封を開けてみると、そこには真新しいバイクシューズが入っていた。
ジャックドーはただ静かに、背中の痛みと、手のひらの重みを感じていた。
罪もない人間が、痛みを感じながら生きているならば、その痛みを断ち切ろう。
罪深い人間が、痛みも感じずに生きているというならば、相応の痛みを与えてやろう。
そう胸に誓い、ジャックドーは学校を辞め、バイクシューズを使いこなすために日々練習に明け暮れた。
丁度国が『カラス』のために作った練習場というものがあったので、そこで毎日特訓を続けた。
バイクシューズにも慣れ、体力も以前よりも付いた頃。
『カラス』のメンバー全員が正式に決定した、という一枚の手紙が届き、日時と簡単な地図が書かれていた。
それは国事館へと向かう道。
『カラス』のメンバーの顔合わせのようなこの機会に、ジャックドーはバイクシューズで出かけた。
国事館の重厚な造りの門を抜けて、建物へと続く綺麗に舗装された道をバイクシューズで滑るジャックドーは、前方に月色の髪を持つ男を見つけた。
その男はジャックドーの気配に振り向いて、じっとジャックドーを見つめた。
容姿端麗なその男は暫くジャックドーを見つめて、柔らかく微笑んだのである。
ジャックドーはすぐに目を逸らしてその隣を何というわけでもなく通り過ぎ、階段を軽く跳んで上りきると指定された部屋へと向かった。


