ジャックドーは電話をするのを止めて自分のかつての家へと帰った。誰もいない、血の匂いが微かに残っている家へ。
そこで両親の遺影を手にしながら呆然と座っていると、突然複数の男が現れ、そのとき何を聞いたかはあまり覚えてはいないが、ただ『ジャックドー』と初めて呼ばれたのを記憶している。
頷いたことも、覚えている。
その男たちに病院へと連れ込まれ、何かの手術を施され、背中に飛べない翼を与えられ、短刀を二つ、渡された。
それが、『ジャックドー』として生きることになった時の最初の記憶である。
『カラス』の仕事は何となしに知っていた。皆が口々に噂をしていたから小耳に挟んだぐらいだったが、自分がなるとは思っても見なかった。
最初の仕事は、両親を殺害した、会社の下層部の人間だったからだ。彼らの動機は両親の地位を狙ってのことだったらしい。
憎しみと悲しみと怒りを込めて、短刀を心臓に突き刺した、硬く、鈍く、痛い、手のひらの感触。
ジャックドーは『カラス』になった。
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