飛べないカラスたち




「チカ、ちょっと来て頂戴」



ある日の朝、母親がジャックドーの名前を呼んだ。


学校へ行く支度をしていたジャックドーはそちらへと向かう。


リビングのテーブルには、一つの箱が包装紙に包まれて、いた。



「今日は14歳の誕生日でしょう?これ、お父さんからよ。お母さんからは今日の夕飯がプレゼントよ」



一日休みを取ったらしく、張り切って腕まくりをする母親に、ジャックドーは何かを言って笑ったような気がするが、おぼろげで覚えていない。


ただ、その箱を『ありがとう』といって、受け取ったことだけ鮮明に覚えている。


そして、自室のベッドの下に箱を置いて、学校へと向かった。


その日は一日中、幸せな気持ちだったような気がする。


学校で友達が祝ってくれればもっと幸せだったろうが、特にその辺は体験したこともないので気にはならない。


今日の夕飯は何だろう。きっと好きなものばかりが食卓に並んで、いつもは使わない特別な食器で食事をするんだ。


授業を終えて、帰るとき、携帯に電話が掛かっていた。


母親からのその電話は授業が終わる直前に掛けられていたようで、自動的に留守電へと繋がれており、ディスプレイには『伝言メモ一件』と表示されていた。


帰りに買い物でも頼まれるのだろうかと思いながら携帯を耳にあて、聞いたその言葉を、ジャックドーはそれから数年が経った今でも、聞き返したことは一度もない。


だがしかし、消すことも出来ずにそのままになっている。