飛べないカラスたち




「クロウ、貴方は未成年でしょう。それに、すきっ腹にアルコールは……」



「身体は大人だからいいんだよ、ルックが飲んでたら止めるべきだろうけどな」



そういう問題ではない、と言い返そうとしたレイヴンは、飛んできた未開封のビール缶がクロウの顔面に直撃したのを見送り、その缶が飛んできた方向へと目を向ける。


そこにはルックが買い物袋を提げ、不愉快そうな顔でもう一発を持ち構えている。


ビール缶の直撃を喰らったクロウはその箇所を擦りながらいつの間にか帰ってきていたルックを睨む。



「テメェな、仕返しも限度考えてやれよ!」



「だから一発で止まってるだろ」



少し凹んだ未開封のビールを拾い上げ机の上に置きながら、クロウはルックの襟首を掴むと、その口にビールを流し込んでやった。



「調子こいてんじゃねぇぞ、ビールも飲めねぇクソ餓鬼が!」



「う、ぇ…不味っ…!!」



「こ、こら!未成年にビールを飲ませないで下さい!」



ドッタンバッタンと暴れながらも、それでも何となく楽しんで日々を過ごしていた。


例え自分たちが歩んでいるこの道が、本当は自分たちが思っているよりも黒く、そして赤く汚れていたとしても。


それでも他の人間たちが持っているような笑顔を、友人を、持っているのだから、きっと、満更じゃない人生なのだと。


ただ少し、他と違うだけだ。


痛みが少し、多いだけだ。


この痛みさえ乗り越えていけたらきっと、ずっと、今のように笑って過ごすことが出来るはずだと、信じていた。




そんな夢が唐突に、何の前兆も無く終わることに気付かなかったのは、そういう遺伝子を組み込まれているからだろうか。


叶わぬ夢ならば、一層、そんな夢を見てしまう遺伝子など組み込んで欲しくはなかったのに。





*