飛べないカラスたち





力なく、触れ合うことなく下ろされたその二つの腕は二度と動くことはなく、女は、重たくなった、息子を掴む腕に、一瞬呆けた。


女は、クロウの放った弾丸が何処へ向かったか知らず、イヤホンもつけていなかったので、削除音が幾つ鳴ったかも知らない。



「…カイン……?」



少年一人の重さに耐えかねて外れたその手から、ルックは地面へと倒れこんだ。


胸から、血を流して。


女の悲鳴は、やはり、家族と一緒に幸せそうに過ごしている人間達にも、友人と談笑している人間達にも、人生を嘆いている人間達にも、聞こえることは、なかった。


幸せそうに笑う、地面に倒れた二人の少年にさえ。








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