ふと、視界を掠めた銀の光に、二人は思わずその手を離して飛びのいた。
二人の間に突き刺さったのはレイヴンの槍。先ほどの宇宙服の男が、それを片手に、明らかにルックの存在を無視してクロウへと攻撃を仕掛けてきた。
「ちっ…」
気を抜けばレイヴンの槍に刺される。
しかしそちらばかりを気にしていれば、女の銃弾を浴びることになる。
不意にルックがクロウと母親の間に立ちふさがる。
それを見たクロウは槍の攻撃を交わし、地面に伏せた瞬間にその膝に回し蹴りを入れて体勢を崩させる。
ドン、とその巨大な体躯は地面に倒れ、その隙に、レイヴンの槍を取り返した。
レイヴンが命がけで戦った、沢山の血液を吸い、それでも傷一つ付いていない、むしろ輝きを増した、槍。
「これを使っていいのはお前じゃねぇよ」
言って、槍をルックへと放った。
手にしたルックは、母親へと視線を戻した。
「母さん、僕はもう、母さんの傍にいられない」
「………」
母親は静かに聞いていた。
逆光で少し見えにくく、その表情はわからないが。
ルックは何の迷いもなく、まっすぐに母親を見て言っていた。決別にしては、随分と無感情な言葉だ。
それはどこか、母親との決別というよりは相手を人間とさえ認識していないような言い方だ。


