「クロウ!!」
叫んで、ボールを放った。
地面に叩きつけられたそのボールは爆発を起こし白い煙が現れ、煙は空中で酸素を取り込み化学反応を起こし一枚のガラスになった。
「な、なん……」
流石のクロウも、開いた口が塞がらなかった。
そんな科学技術が、レイヴンにあるとは知らなかったのである。
驚いたのは相手方も同じで、突如階段を覆うように出来たガラスは銃弾でさえ貫けない。
「クロウ!早く!その壁3分しか持たない!」
言われてクロウは破壊された階段に手を掛け、よじ登ると踊り場に辿りついた。
捨てていかなければ生きていけない世界はとてつもなく窮屈で苦しくて痛い。
倒れているレイヴンを引き上げることも叶わない二人は無言で階段を駆け上がった。
全ての犠牲の上に、自分たちが成り立つのであれば、犠牲になった人たちの努力を踏みにじることなど出来ない。
例えそうやって生きていって、最後には辛く重たすぎて、その足で立っていることが苦しくなったとしても。
ただ今だけは。
階段を駆け上がり、ルックの見つけた排水パイプを伝って地上へ降りる。
降りたというよりは、落ちた。


