飛べないカラスたち





「お前は残ってろ!」



「やだよ、僕だって皆と一緒に戦う!」



「レイヴンに言われただろうが!短距離型のお前の武器は今回は不利でしかねぇって!」



ルックは言い返そうとした言葉を飲み込む。


戦いの場で、足手まといは必要なく、今はそんな微かな邪魔でさえもフォローできる余裕がないと、言う意味であるとわかったのだ。


何も出来ない自分が腹立たしかった。


皆が頑張っている時に、自分は力もなければ武器も使い勝手が悪い。


ナイフ裁きは人一倍に良くても今はそんなもの何の手助けにもならないのである。


ルックは屋上へ出て、降りられる場所を探した。


地上では特に人影は見られず、遠くを見渡せば、この建物の中は戦場だというのに、暢気に電車も走っている。


高速道路は絶えず車が行き来しているし、飛行機も飛んでいる。


恐ろしいほどの日常が広がっていて、自分たちはそんな日常の中で、信じがたい日常と直面している。


そんなこと、誰も知る由もないだろう。


きっとここで死んだとしても誰も。


駐車場に一番近い一つの排水パイプを見つけると、場所を確認し、ルックはまた扉の方へと戻っていった。