穏やかで、殆ど削除作業の前線に立たないレイヴンが、何故その名を貰い受けたのか。
最初は誰もわからなかった。
それでも時が経つうちに、全員が、レイヴンが、『レイヴン』でよかったと口を揃えて言う。
ある意味、一番『カラス』が似合う、男が、レイヴンだったのである。
一瞬で踏み込み、男の腕を掴み、容赦なく、寸分の躊躇いさえなくその槍は目の前の男の眼球を潰し、骨を砕き、その奥にある柔らかい脳に切り込みを入れた。
血管も筋も神経も細胞も全てを無視して。
グルッと、その槍で脳内を抉り引き抜けば、眼球が真っ二つに割れて、落ちた。
ビチャ、斗下品な音をたてて落ちる、血液と、何かの塊。
そして、叫び声。
その男を盾に、銃を奪い取ると周りの大人の眼球に、口に、顔を覆い隠すその隙間微かに見えた顔に、額に、弾丸を撃ち込んだ。
どんな武器でも使いこなせる柔軟性と、どんな人間でも殺せる残酷さ。
返り血を浴びながら、微かに微笑みさえ浮かべるその姿は、生けるものを確実に死へと導き、無事に送り届ける、死神のようだった。
「全ての痛みから、解放して差し上げましょう」
そしてまるで、大主教のように。
*


