飛べないカラスたち





「さて、少しだけでも時間を稼がなくては。そして、追いつかなくては。…あの二人、放っておくとコンビニ弁当ばかりですからね。クロウはビールばっかり飲みますし、あぁ、中年になったらビール腹になってしまうんでしょうかね…折角綺麗な顔なのに勿体無い。私がちゃんと止めなくては。カインは身長が伸びないままですし、ちゃんと栄養のあるものを作ってあげないと。恋人より身長が低いと可哀相ですもんね…最近の女の子は背の高い子が多いですから」



そんな、まだ見ぬ未来を思い描けば小さく笑って、槍を握り締める手に力を込めると、その表情から、笑顔をそぎ落とした。


そしてレイヴンは、その槍で、三階へ続く階段をぶち壊した。


騒音と、衝撃。


軽く出来ているが、その破壊力はクロウの拳銃よりも高い。


大人たちが、その手に武器を構えてやってきた。


騒音の中、立ち尽くしているレイヴンを見て、一瞬ビクッと身体を強張らせ、立ち止まる。


宇宙服のようなものを着ていないところをみると、ルックの母親と同じ構造のようだ。


非道く冷たく相手を見つめたレイヴンは足場を確認して、槍を構えた。


もう、ルックの義兄という面影など微塵もなく他の『カラス』のメンバーをまとめる頼りになる兄、という面影さえもない。


ただ一人の、殺人鬼。『カラス』の筆頭、レイヴンの名を受け継ぐもの。



「…そういうわけで、ここを通すわけには行きません。残念ですが、お別れの時間です」