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漸く西棟に辿りつき、階段を上がる。
嫌な足音が聞こえてきて、三人は筋肉の疲労が酷い震える足を必死に動かして、一段飛ばしながら上っていた。
が。
レイヴンが、二階で立ち止まった。
二階と三階の間の踊り場へ辿りついたクロウとルックは、上がってこないレイヴンに焦りに似たような声を掛ける。
「何してんだよ、レイヴン!」
「屋上への扉の前で戦うのは少し不利です。逃げ場所もない、相手は銃器を持っている。それに、大人数。幸い、ヒールの音は聞こえません。…二人は先に行ってドアを開けて来て下さい」
尤もらしいレイヴンの論に思わず「わかった」と言いかけるが、今はそんな状態でもない。
これ以上個別行動をすれば、死は確実に近付いてくる。
クロウが銃器とまともにぶつかると、それは数も多く、銃弾の効かない相手の方が有利になる。
レイヴンの槍なら、攻撃は効かずとも槍で薙ぎ払い、一気に体勢を崩させることも出来るだろう。
二階からの道を塞いでくれれば少なくとも人が来ることもないだろうから扉を破壊する作業はしやすい。
しかし同時に、レイヴンに不利がのしかかる。
中距離型の彼が、武器が殆ど通用しない大人数の大人相手に例え銃弾を跳ね返せたとしても、ずっとそれを保てるわけがない。
平気で居れる可能性なんて半分もないのだから。


