クロウが言うには、流石にルックの実母を目の前で殺すのが躊躇われ、銃弾も効かないので、どこか穴はないだろうかと撃っていると、先ほどクロウがされたように頬、ほとんど顔へと目掛けて撃つと、それだけは避けたという。
そこから予測するに、対カラス用のフィルムというのは首元まで、もしくは顔の部分は覆われていないものだと思われる。
宇宙服のようなものを着た人間は、きっと全身をフィルムが覆っているので効き目はないだろう。
レイヴンの槍でさえも貫けないはずだ。
しかし、彼女のように宇宙服のようなものを着ていない人間なら口内や眼球から仕留めれば確実に脳を潰し、動きを封じることが出来るはずだ。
顔面から衝撃を送れば、勝てるかもしれない。
「……アイツが来たら、俺が足止めする。お前ら二人で先に屋上開けてくれ。…いいよな?」
「…私は、…構いませんが…」
後はルックの気持ち次第である。
しかし、当のルックは何も言えずにただクロウの後ろを追って走っていた。
無理もない。自分の母親が自分の友人や義兄を殺そうとして、いや、現に友人を殺したのである。
そして今度は友人が、母親を殺すという。


