飛べないカラスたち





「母さん止めて!僕たちが要らないなら、ここから、日本から出て行くから!!僕だけが必要なら、付いていくから三人に酷いことしないで!!」



ルックがクロウやジャックドーたちの前に立ちふさがって、叫ぶ。



「もう何処にも、『カラス』を受け止めてくれる国なんてないわよ。全世界でね、『カラス撲滅運動』が始まっているの。知っているでしょう?『カラス』が世界中から段々といなくなっていること。その翼がある限り、受け入れてなんてもらえないわよ。カラスはね、嫌われ者なの。カラスが大量発生して、カラス駆除に乗り出したことが昔あったのよ。焼却炉の中は黒で埋め尽くされた、そんな歴史」



「どうして…どうして、今更」



あの時助けに来なかったくせに、何故今になって手を差し伸べることをするの。


そんなニュアンスを含んだ言葉が、ルックの口からポツリポツリと、漏れる。



「子供のあなたにはわからないかもしれないけど、あの時は私も混乱してて…。カインを無意味に傷つけてしまいそうだったの。けれど今ならもう……」



「結局はテメェの都合じゃねぇか」



「……生まれてきた時から傷つけられていた貴方は慣れてるからわからないでしょうけど、カインはずっと大切に育てていたのよ。傷つけたら、貴方みたいな自殺未遂じゃ済まない…本当に死んだかもしれないのよ。…貴方のところの出来損ないと一緒にしないで頂戴」



不愉快そうな目で、女はクロウを睨みつける。蔑むような、バカにするような、苛立っているような、そんな目で。


その目を睨み返しながら、吐きそうなほどの憎しみというものをクロウは初めて抱いた。


誰が出来損ないだと…?


拳銃を握り締める手のひらの痛みなど忘れて、眩暈がするほどの殺意というものをクロウは、初めて抱いた。