パンパァンッ!!と、二回の発砲音。
音は近くから聞こえ、小さなうめき声と共に、ジャックドーがその場に崩れ落ちる。
「ジャックドーの脚は邪魔なので、…失礼」
ルックの母親が硝煙を上げる拳銃を持って、階段の踊り場に佇んでいた。上から多数の足音が下りてくるのが聞こえる。
弾はジャックドーの右の膝と左のアキレス腱を貫通しており、ドクドクと赤黒い血液を吐き出していた。
脚を踏ん張るのに、必要な場所をどちらも潰す、的確でいて正確な二発だった。
勿論、そんなことを冷静に考えられるほどの頭は三人には残念ながら持ち合わせていなかったが。
「てめぇっ…!!」
クロウは何発かを女に向けて発砲する。
銃弾は確かに女の身体へと飛んでいくが、女は呻くこともよろけることもなく立ち続けている。
女の足元に転がる、銃弾。
その間にレイヴンがジャックドーに肩を貸すが、この状況下で逃げるのは不可能に近い。
片足だけならバイクシューズで走れたが、両足だと勢いに身体を支えきれずに転倒する。とはいえ、走ることも出来ない。
痛みに脂汗を浮かべ、呼吸が浅いジャックドーは小さな声でレイヴンに言った。
「……レイヴン、クロウとルックを連れて、走れ」
「…出来ません、ジャックドー。私たちは四人でここを出て行くんです」
「綺麗事だけで、生きてはいけない…屋上まで行けば、助かる。その後に、この窓を壊して助けてくれればいいから」
ジャックドーは静かに、レイヴンへと伝えた。
全ての決断はレイヴンに委ねられる。
勿論、ジャックドーを置いて行って、例え屋上へとたどり着き、外へと逃げることが出来たとしても、そのときジャックドーが生きている可能性などない。


