飛べないカラスたち




レイヴンの静かな怒りが低く響く。


対する女は特に気にした様子もないが、その声はいつものレイヴンのものとは思えないほどの恐ろしい冷たさと低さを持っていた。


流石のルックも、驚いてレイヴンへと視線を向けたくらいだ。



「貴方たちが今までしていたことを、私たちがして何の問題があるというの?」



流石に、四人は押し黙る。


不要だから、エネルギーの無駄だから。


そういって、人々の削除を遂行してきた自分たちが、不要だから、エネルギーの無駄だからと、削除されて、言い返せる言葉などない。


女はそんな四人にニヤリと嫌な笑みを浮かべた。



「安心してください、カインだけは、殺しはしませんから」



「今までよくやってくれたよ、ありがとう」



言葉だけの感謝に、苛立ちが募る。


レイヴンの槍の柄が遠心力によって、伸びる。


ジャックドーは左腕から短刀を取り出す。


ルックはポケットからナイフを、掲げた。



「俺たちを殺す前にそこの狸を先に潰した方がいいんじゃねぇのかよ。そいつが、上の奴らが全部仕組んだことだろーが!」



「だから責任を取って、お前たちを手放すことにしたんだ。莫大な釈放金も支払ってね」



苛立ちも度を過ぎれば恐ろしい疲労と、吐き気と頭痛が訪れるものなのだと、普段滅多に苛立ちを抱かないレイヴンは逆に冷静に自分の身体の変化を感じていた。


クロウは不の感情を露にしやすいので、途端に発砲音。


勿論、大臣は弾丸を意にも介さない。


ニンマリと、大臣は笑って、「じゃあね」と呟く。


それが合図かのように、女の構えられた銃口が狙いを定め、室内に発砲音が響いた。


四人で咄嗟にその攻撃を避けると蹴破るようにして部屋を飛び出していった。


逃げながら考える。


どうすれば、逃げ切れるか。