「さて、君たちにここへ来てもらったのは他でもない。…君たちに一つお願いがあってね」
「なんでしょうか」
にっこりと、総理大臣は返す。
「第三地区のカラスを、削除して欲しいんだ」
まるで買い物でも頼んでいるかのように軽い発言に、思わず四人は次の言葉を失う。
何度か大臣の声を頭の中で反芻させて、それでも一番最初に理解した者は、いなかった。
「は…?」
最初に口を開いたのはクロウで、短い一言だった。
多少予想していたとはいえここまで簡単に言われると、聞き間違えただろうかと思うのも無理はない。
その言葉に促されるように、大臣はもう一度、今度は丁寧に言った。
「日本の、第三地区の……そう、この部屋にいるカラスをね、削除して欲しい」
「……それは、何故」
「詳しいことは彼女から聞こうか、…入りなさい」
この部屋の人間以外へ、そう呼びかけると暫くして控えめな声が届き、ドアが開かれた。
入ってきたのは3・40代ほどの女性で少し気難しそうな雰囲気を隠すことなくさらけ出していた。
思わず息を呑む二人に、後の二人(クロウとジャックドー)は、訝しく交互を見やる。
今しがた部屋に入ってきた女と、彼女を見て言葉を失うレイヴンと、ルックを。


