飛べないカラスたち




反カラス組織というものは家族や恋人を『カラス』に殺された人間が立ち上げることが多く、彼らはよく駅前演説で『人の価値は仕事の遂行能力で決まるわけじゃないはずだ』と叫んでいる。


だがしかし、仕事の遂行能力で決まるのだ。


利用価値の無い人間に与えるほどの土地は昔のようには無いし、空気やエネルギーも無限にあるわけではない。


現実から眼を背けて世迷いごとを口にする人間が、いくら削除しても消えず、この反カラス組織と、『カラス』を含む不必要な人間を削除したがる国との戦いは随分と続いていた。


とはいえ、一般人は『カラス』を殺す手など持っていないので、戦いといっても、演説をし、どこかで聞いているはずのカラスたちや、国の人間の心に訴えかけることしか出来ない。


そして、そんな言葉に翻弄されるほど生易しい人間は『カラス』もとい、国の頂点には立てない。


そんな心に訴えてくる反カラス派もいれば、その名を理由に金を騙し取る悪徳な組織もある。


本来、反カラス組織という存在は勿論国は認めたくないが、黙認するしかない存在である。

しかし、それが不正な組織であれば別で、削除をしなければならない。


しかし削除をすれば「カラスがまた罪もない人を…!」と市民の怒りを買うのである。


ギシ、とソファのスプリングが、クロウが背もたれに凭れたのと同時に鳴る。



「放っておけばいいのによぉ、払いたいやつに払わせてりゃいいじゃねぇか」



「とはいえ見過ごすわけにもいかないでしょう?エネルギーは年々減りつつあり、第1地区と第6地区にはエネルギーが回ってないのが現状です。見過ごせば、悪徳組織にエネルギーを使われて、弱い子供たちやお年寄りが無駄に死にかけるんですよ?病院で使うエネルギーが年々増えていて、今でも十分自体は深刻なのです」



人間を死へと追いやることは『カラス』か医療機関にしか出来ない。


つまりはどんな状態でも、死ねないということでもある。