「何、なにかあったの…?クロウは…」



ただならぬ現状にルックは控えめに問いかけた。


その問いかけはレイヴンが寝室を指差し、クロウへと駆け寄ろうとしたルックをジャックドーが付け足す。



「気を失ってるだけだ、問題はない」



ルックは踏み込んだ勢いを後ろに掛けることで、その勢いを分散させた。


レイヴンは冷静にジャックドーへ説明を求める。


ジャックドーは今回のクロウのターゲットの中に彼の母親がいたこと、そして軽い母親とクロウの関係と、その最後を伝えた。


そして誰かが埋葬してくれることを願って母親を礼拝堂へ運び、そこで何かの糸が切れたクロウが自分の心臓に拳銃を向けたので、咄嗟に鳩尾に拳を打ちつけて気絶させ、バイクと共に運んできた、という説明をクロウから取り上げた拳銃をゴトン、と机の上にほうって付け足す。



「もう少し早く到着する予定だったんだが…バイクは乗り慣れないし、勢いを付けすぎるとクロウが落ちるので、あまり勢いが付けられないしで…すまない。連絡して、余計に心配掛けるのも憚られた」



「いえ、…謝るのは私の方です…。まさかクロウにそんなことをさせていたなんて……」



「レイヴンが気に病むことはない。クロウも、誰かに殺されるより、自分がしてよかったと言っていた。母親を誤解したまま生きていかなくてよかったとな」