下半身のない少女を抱き上げると少女は何かを感じ取ったのか、手を伸ばし、何かを受け止める。
それは、へその緒につながれた、頭のない、子供。
兵器により、母親の下半身ごと、子供の頭が奪われたのである。
流石のレイヴンも、直視出来ずに目をそむけ、手を貸しながら礼拝堂までの道を歩いていると、司教がその間を縫って出かけようとしていた。
「司教様、どこへ行かれるのですか!?今は危険です!」
「レイ、お前にここは任せたぞ。私は裁きを下さねばならない」
止めるレイの声も聞かず、司教はさっさと青銅の門を抜けて、黒煙立ち込める被災地へと向かっていった。
少女を抱いている所為で追いかけるわけにも行かないレイは迷って大主教の元へと向かおうとした。
それを少女が真っ白な顔で笑って、止める。
「レイ様は知らないのね、ここの教会には誰も叶えられない願いを叶えてくれる素晴らしい人がいるのよ。それが、大主教様と司教様…お二人なら、どちらも助けてくれる…どちらも…」
うわ言のような少女の言葉を、大主教の声がかき消した。
集まった怪我人たちは大主教の声を、先ほどまで呻いていたのが嘘のように、静かに聴いていた。
「これから皆様には選択を行なっていただきます。大丈夫です、誰もあなたの選択を咎めることなどいたしません。私の助けが必要な方は、どうぞ礼拝堂の中へ。そうでない方は寄宿舎へ進んでください」
ぞろぞろと、人々が進む。
ある者は礼拝堂へ、ある者は寄宿舎へ。
二人で来た者たちは片方が礼拝堂を選び、泣きながら、分かれた。
レイヴンの抱き上げている少女は指を差してレイヴンを促す。


