飛べないカラスたち

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そんな日が数年続いたある日、いつもは忘れるはずのない礼拝堂の戸締りを忘れていたことに気付いたレイヴンは急いで礼拝堂へと鍵を持って向かった。


薄暗く、ほの青い廊下を出来るだけ音を消しながら走り、庭へと出て、少し離れた礼拝堂へとたどり着く。


扉を確認すると、やはり開いたままになっていて、レイヴンはその中へとゆっくりとした動作で入っていった。


動きが緩慢なのは、礼拝堂の明かりが何一つ灯っておらず、光があまり差し込んでいなかったからで、灯を持って来ようかとレイヴンは悩んだ。


とはいえ、見えないほどではないので、意を決してレイヴンは礼拝堂の中を確認し、人気がいないことを確かめる。


幸い、中には誰かが潜り込んだ形跡もないので、ほっと胸を撫で下ろすとドアへと向かった。


その古めかしい、情緒漂う木の扉を押し開けようとした時、声が聞こえてきて、レイヴンは思わず扉を開けるのを躊躇う。


声は大主教と、司教のものだった。


暫く静かに息を潜めていると、礼拝堂の前を通り過ぎながら、二人はひそひそと会話をしていた。



「あぁ、まだ頭に響いていますよ。まったくこの仕事は老いぼれには辛いですな」



「早く四人が集まるといいんですがね…まだレイヴンとルックが揃ってないとのことです。武器はもうすぐ届くとのことですが」



「この長刀も、もう、使い古して錆びてきましたしなぁ。次は何の武器を使うことになっているでしたかな?」



「槍、自動式拳銃、短刀二本とナイフですね」



大主教の笑い声が暗い庭に響いた。


レイヴンは何の話をしているのかよくわからないままに、息を潜めて声を盗み聞いていた。


というよりは声も出せないし、騒ぎ立てることも出来ないので自然と静かになる、そこへ彼らの声が聞こえるというだけだが。