あ…あれえ?

「受付に戻って来ちゃった?」

私はコーラと緑茶のぺットボトルを抱えたまま首を傾げた

おかしいなあ

これで夜間受付の前を通るのが、3回目なんだけど?

階段か、エレベータを探してるのに…どうして見つからないんだろう

私は案内板の前に立つと、じーっと地図を眺めた

うーん、おかしいなあ

ちゃんと地図通りに行ったはずなのに…夜間受付に戻ってきちゃう

「あ、すみません
杉本 綾の病室って何号室ですか?」

紅夜さんの声にそっくりな重低音が背後から聞こえてきた

紅夜さんより、ちょっと擦れている声で落ち着いている

私はぱっと後ろを向くと、夜間受付に立っている黒スーツの男性と目が合った

あ…目元が紅夜さんに似てる

男性は、目を細めて私の顔をじっと見たあと、ポケットに入っている眼鏡を取り出して、また私の顔を見た

「君…もしかして、沖野愛実さん?」

紅夜さんによく似た長身の男性が、質問してきた

「…あ、はい」

「やっぱり!
朱音から写真は見せてもらってたから…そうじゃないかと思ったんだよね」

夜間受付の人から、部屋番号を聞いてから男性が、私に近づいてきた

「私は、紅夜と朱音の父です」

男性は丁寧に頭を下げた

私もつられて頭をさげる