え?

どういうこと?

意味がよく…わからないんだけど

お父さんも…って?

お父さんも、綾さんと紅夜さんとの交際を知っているってこと?

知っていて、紅夜さんから綾さんを奪ったの?

「お兄ちゃんから、お父さんのこと…どう聞いているか、わからないけど
お父さん、そんなに悪い人じゃないよ
ただ愛し方がわからないだけ
女の扱いはうまいから、私やお姉ちゃんには優しいけどね
男の扱いは下手みたい…だから、たぶん、お兄ちゃんは気づいてない
お父さんが、ちゃんとお兄ちゃんを愛してるってことに」

朱音ちゃんが、苦笑した

「あー、話したら喉が乾いたかも」

朱音ちゃんが、ぼそっと呟いた

「あ、じゃあ、私が買ってくるよ」

「え? いいってば」

「ううん、ちょっと一人になりたい…かなって
ここにいると、綾さんと紅夜さんのやり取りが聞こえきそうで…聞こえたら、いろいろと考えちゃいそうだから」

「そっか…わかった
んじゃ、私はさっぱりとコーラで!」

朱音ちゃんが明るい声をあげた

「え? コーラってさっぱりしてる?」

「え? さっぱりしない?」

「炭酸って喉が痛くならない?」

「ならないよー! あのシュワってのが、いいんじゃん」

朱音ちゃんって、変わってる

炭酸は痛いし、お腹が張るから、苦手だよ

「じゃ、コーラ、買ってくるね」

「うん! お願いします」

朱音ちゃんが手を振ってくれた