【天使の片翼】


結局、いつも反省してあやまるのは、自分の方だ。


自分のわがままを許してくれる、やさしいソランだが、

危険なことに関してだけは、決して譲ってくれない。


生まれたときから、自分の身に起きた、ほとんど全ての事を、ソランは知っているのだ。

ひょっとしたら、両親の知らないことまでも。



・・やっぱり、ソランには、隠し事なんて無理か。



ソランの後ろに隠れるようにして、小さくなっているレリーに目をやる。

あまりに存在感がないので、いることをすっかり忘れてしまっていた。

多分、ソランも同じなのだろう。

でなければ、シドの話を突っ込んだりするわけがない。


レリーは、ハラハラしながら、二人のやり取りを静かに見守っており、今にも泣き出しそうだ。



・・まぁ、レリーは、あの腹黒王子たちと関係なさそうだけど。

どちらにしても、彼女の前で、話すことはできないし。



なんとかして、私的な時間を持つ権利だけは確保したいと、

ファラは、再び空を眺めて、次の交渉の手を考えた。