【天使の片翼】


「・・・」


目を合わせていないのに、しっかりと感じる、無言の圧力。

これに負けたら、自由の権利を剥奪され、湯浴みを覗く権利を与えてしまう。



・・がんばれ!私!



視線を合わせると負けそうなので、空から目は離さない。


白い雲が、渦を巻いたように流れて、澄んだ空に煙の橋をかけている。


「どういうお知り合いです?」


「ええと、以前、ホウトに来た時に」


「ファラ様が、ホウト国を訪れるのは、初めてのはずです」


「そ、そうだったわよね。

えと、じゃ、じゃあ、彼が、カナンに来た時に」


「隊商の道を通過して、カナンに入国できるのは、商人とその護衛兵のみです」


「多分、彼、商人に雇われて、護衛兵をやってたんじゃないかしら」


「いつの話です?」


「そうねぇ、2年くらい、前?」


「シド殿は、王子付きになって、5年だそうです」


「・・・」