【天使の片翼】


太陽に焼かれた肌が、じりじりと痛い。


ソードは、5日前、謁見室で、初めてファラと会ったときの事を思い出した。


一目で、

考えるよりも先に、理解した。


疑う事を知らぬ、清らかな心を持つ、明るい少女。

それは、愛されて育った証拠(しるし)。



--自分には、与えられなかったもの・・。



足元に視線を落としたソードは、一歩左によると、

右足のかかとで、目の前の行列を踏み潰した。

足首を回転させて、ねじるように圧力をかける。


浮かせた足の下には、原形をとどめない黒い塊が、無数に存在する。


「行くぞ」


何事もなかったように、陽の下を歩き始めたソードの後ろを、無表情なシドが、付き従う。


ソードが踏み潰した蟻の群れは、数拍の間、仲間の死に動じるように、列を乱したが、

すぐにまた、先ほどと同じように一列で進み始めた。


一瞬、シドは、災難を受けた小さな存在に目をやったが、すぐにシドの背中に視線を移した。